白い仮面の男【ウルトラマンアーク22話】感想 ジェネリック実相寺回

ウルトラマン

前回 夢咲き鳥【ウルトラマンアーク21話】感想 ギリギリまで頑張って

白い顔面の男 アメイジングRYOです

運動しないからでしょうね。肌が綺麗なのは自慢。

私好みの異色回だった22話を語っていきましょう!

あらすじ

最後に怪獣が現れたのはもう先月の末のこと。

それ以後ホットラインも鳴らず、天気も快晴続きで何も憂のない日常はただゆっくりと過ぎていく。まるで怪獣と戦うSKIPなど必要無くなったかのように。

そんな時ユウマは自分のお気に入りの傘が事務所から無くなっていることに気付く。前に雨の降った日からずっと置いてあるはずの傘。

仕方なく買おうとするが雑貨屋のおばちゃんは「傘」という単語にまるで聞き覚えがない様子。

違和感を抱えたまま訪れた次の日、更なる〝異常〟がユウマ達を襲う。

ビル3階にある筈のSKIPの事務所が忽然と消えてしまったのだ。

ゆっくりと日常を覆っていく無数の違和感…その裏には『楽園』を追い求める怪人物の暗躍があった。


まるで実相寺回!?異色全開の怪ストーリー!

転載:https://cocreco.kodansha.co.jp/telemaga%2Fnews%2Ffeature/arc/dTfdG?page=2

物語開始から画面が事件解決までずっとセピア調、明らかにこれまでの敵とは違う白い仮面の男と柱、難解なストーリー・メッセージ性、度々挿入される水滴の音…

その全てが異色、異色、また異色だった今回は往年のファンならば歴代の実相寺回を連想したのではないだろうか。

実相寺回というのは実相寺昭雄監督が担当したウルトラシリーズのエピソードのことでありその独特の絵作りや斬新な演出の数々から

「なんか今日はいつものウルトラマンじゃない!」

と感じたら大体実相寺回というくらいには他のエピソードから良くも悪くも「浮いてる」お話になりやすいのが特徴。

具体的には

・ちゃぶ台で胡座かくメトロン星人というシーンがあまりに強烈な『ウルトラセブン』「狙われた街」

・桜舞う歌舞伎の舞台でティガマノン星人が戦う『ティガ』の「桜」

・シリーズ屈指のメタフィクションエピソードである『マックス』「胡蝶の夢」

などがある。

そう言った意味であまりに異質な今回はジェネリック実相寺回と言える内容だったかと思う。

ちびっ子には怖くて難しい話だったかも知れないがきっと強烈に記憶に残り続けることだろう。そして大きくなってまだウルトラマンが好きだったらその時改めて見てリアタイ時には分からなかったたくさんの事が分かり、たくさんのことを感じることだろう。そういう回だ。

ニュージェネは22話くらいのタイミングで異色回を入れてくるのが何気に定番になりつつあるな。

実相寺回演出ももちろんなんだが、こういう本筋に一切関わらない縦にも横にも繋がらない普段と色の違う単発回を急にポーンと放り込んでも許される懐の深さ、1つの作品でいくつもの作風を感じられるのがウルトラシリーズの強みだと思うのでこういう回は個人的にめちゃくちゃウェルカムなのよ。

本編の話をしていこう。

冒頭から靴飛ばしての天気占いという随分可愛いことをしているユウマ。しかしこの時点で画面の色がくすんでいるので、我々には劇中が晴れているかが分からないという早速アクセル全開の演出。

度々差し込まれる水滴の音はラストシーンで雨が降り出したのと踏まえて考えると、実は作中ずっと雨は降っているんだけど世界の大多数の人間が雨を忘れてしまったことで認知し辛くなっているというところかな?

今回のストーリーのテーマは認知によって存在が保たれるというもの。

要するに、誰かが「それ」を知っているから、覚えているから「それ」が存在出来るのであり誰も認知していないものは存在出来ないという訳だ。

雨が降らないから忘れらるのではなく、誰からも忘れられれば雨は降らなくなり傘などの雨があることが前提のものは存在しなくなる。

誰もが怪獣を忘れれば怪獣がいた事実すら消え去り世界の形が変わっていく。

「認知」と「存在」を軸にした難解なテーマながらこれを『アーク』のテーマである想像力に結びつけているのが構成の妙。

「人が死ぬのは人に忘れられた時さ」ってDr.ヒルルクも言ってたもんな。

ユウマの想像力で思い出の絵画教室の記憶が蘇り、チョーク塗れの手に色が返ってくるシーンも綺麗に決まっていて好き好きポイントね。

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白い仮面の男と楽園夢想遺構 柱

転載:https://cocreco.kodansha.co.jp/telemaga%2Fnews%2Ffeature/arc/dTfdG?page=2

今回のヴィラン 白い仮面の男についても書いていこう。

肩書きはそれぞれ『楽園夢想人』と『楽園夢想遺構』。これまたなんとも異質な感じ。

楽園夢想「人」なので白い仮面の男はあくまで人間というのが今までのウルトラ怪獣・星人にはいなかった感じだ。

柱はこの芸術品のような出立ちから『タローマン』の敵っぽさがある。ゲイジュツハバクハツダ!

仮面の男はとにかくそのビジュアルが恐ろしく不気味でちびっ子を震え上がらせるポテンシャルを秘めている。仮面にトラウマ持つ子もいそう。

仮面の質感は石のようで、ところどころに傷が入っており非常にディテールが細かい。これはフィギュアには出来ないやつだ。目は宝貝になっていてまるで瞼を閉じたように見える。石に貝が嵌め込まれた造形が人によってはゾワッとするだろう。

画面にポツンと現れ次の瞬間にSKIPの仲間たちが次々に消されていくって演出も恐怖を煽る。

シュウと線路を挟んで向かい合うシーンとか好き。

しかし声がめちゃくちゃ素敵。担当したのは津嘉山正種さん。『ペルソナ5』の偽イゴールとか、『カイジ』シリーズ兵頭会長とかの人。吹き替えとかでもよく聞くね。

仮面の男は前述通り元はただの人間であり、不安や憎しみを取り除き真の楽園を築くにはどうすれば良いのか考え続けた結果古代の人々が不安や苦しみを取り除くのに使っていたに出会い今の姿に至ったという。

色々想像出来る設定だがろくな答えは劇中では出ない。いや出さないというのが正しいか。不可思議回にアンサーはいらんのよ。

仮面を外したその素顔は黒い空間に青リンゴが浮いているというルネ・マグリットの『人の子』をモデルにした姿。

元ネタになった絵について調べた上でのこの正体についての考察を一つ。

顔を隠す、顔が無いというのはアイデンティティの否定。

「名前も顔も捨てた」という台詞からも分かる通り男は楽園に至る為に「誰か」だった自分を捨てて誰でもない「ただの男」になったのかなと。

もしくは自分が自分である限り自分の憂いが消えないので柱に「己」を消させたことで全ての憂いから解放されたが「己」で無くなり顔を失ったとか。

この世界の誰にも認知されない男は存在が雨や怪獣と同じく曖昧になっていてそれ故に顔がないとか。

まあとにかく色々考えられる。

大事なのは想像力。正解か間違っているかではなく自分なりの想像で男の正体に辿り着けばいいんじゃないかと思うよ。元より答えは多分用意されてないし。

今回はバトルがメインじゃないってのもあって柱は随分あっさりやられて思ったがちょっと立体化欲しいよ。

ソフビで…無理だろうなぁ

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次回

ユウマの体を襲う謎のダメージ!

その理由はアークオニキス

容赦なく迫り来るゼ・ズーの刺客

第三の「ゲロス」を倒せるか!?

それではまた

次回 厄災三たび【ウルトラマンアーク23話】感想 アーク上司!?


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