【ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップ】感想/紹介 駄作とは言わせない

MARVEL

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MARVELでは実はファンタスティック・フォーが推しの男 アメイジング RYOです。

なんかスーパーマンとかそういう「全ての始まり…」みたいな煽りされる初代ヒーローってめっちゃ好きなんだよね。

色んな作品やヒーローを知るほどに、好きになるほどに「彼らが生まれたのも元を正せば初代がいてこそだもんなぁ…」って思うと推しってよりある種の崇拝をしてしまうのよね。

さあ待ちに待ったMCUにあの家族が参戦!

感想を語っていきましょう!

あらすじ

ここはアース828

4年前人類史上初の宇宙への進出を成し遂げた勇気ある4人の若者は宇宙線を浴びてスーパーパワーを身につけ帰ってきた。

以来彼ら4人はファンタスティック・フォー(以下F4と呼ばれ人々の希望を守るスーパーヒーロー、地球の守護者となり全人類に愛されることとなった。

インビジブルウーマン/スーザン・ストームはチームのリーダーであり夫のMr.ファンタスティック/リード・リチャーズとの間に念願の子供を授かる。

チームは喜びを分かち合い、より一層に団結を深めるがそんな中街を異様な暗雲が包む…

宇宙より現れた銀色の女 シルバーサーファーは全人類に向け言い放つ

「この星は滅びる。滅ぼすのは…ギャラクタス」

星を喰らうという宇宙魔神ギャラクタスとその尖兵。あまりに巨大な未曾有の敵を前にF4は立ち上がる。

ギャラクタスの強いるあまりに残酷な二者択一を超え4人は愛すべき我が子 フランクリンを、全人類を守れるのか…

愛すべき我らがファンタスティック・フォー!

転載:https://www.youtube.com/watch?v=bWkbgR2jGcw

1961年。ヒーローの父 スタン・リージャック・カーヴィーに命を吹き込まれ誕生したアメコミ史上初の4人で1人のチームヒーロー。誕生以来長らくビッグタイトルとしてMARVELを支え続け彼らの歩みはMARVELの歩みと言っても過言では無い。そんな偉大なる4人がついにMCUに参戦…感慨深い。

私は元々2005年の『超能力ユニット』のファンでもあるんでより楽しみだった。

色々と語っていこう。

本作の舞台はあらすじ通りアース828。これは我々がよく知る正史のアース616とは別のユニバースでありアース828にはF4以外のヒーローが存在しないというのが前提だ。

更に本作は正史世界とのリンクを終始特に行わないのでMCUでありながらほぼ完全な単発・独立作品であることが一つの特徴。本作からいきなり見てもなんら問題ない作りになっている。

このアース828はMr.ファンタスティックことリード・リチャーズの驚異的な頭脳によって現実世界よりもはるかに進んだ科学力を備えているのだが一方で街並みや発明品の雰囲気は60〜70年代くらいを意識している文字通りのレトロフューチャーな世界観で構成されている。

空飛ぶ車(ファンタスティッカー)、藤子不二雄作品に出てきそうなお手伝いロボット、F4が身につけるハイテク腕時計…そのどれもがかつて人類が思い描いていた未来観がそのまま飛び出たようなアイテムでこの世界観が既にすごく好き。

異変が起きた時メンバーが一斉に腕時計を見るという60〜70年代のロボットアニメか特撮ヒーローのようなムーブまでしてくれてその辺の作品も好きな私はくすぐられた。

「あー俺レトロフューチャーにしばらくハマるんだろうな」って気配をビンビン感じたね。

本作の好きなポイントとしてもう一つ特筆したいのはF4が地球人類みんなに愛されるヒーローであるというところ。

冒頭からF4誕生4周年を祝うためのTV番組が放送されており我々も特番のVTRを見ているような感覚でこれまでのF4の軌跡を追うことが出来る作りになっている。

彼らのオリジンやいかなる活躍して地球の守護者となったのか、どんなヴィランと戦いどれだけの人を救って来たのかを見せるこのVTRパートは「もっと詳しく見せてくれ!」と思えるワクワクする場面も多い。

VTRの最後は世界中の人々の「ありがとう!ファンタスティック・フォー!」というメッセージで締められていてF4のこの世界での愛され具合を存分に感じられて見てるこっちも気分がいいし、F4が地球のリーダーであることを見せることはこの後の展開にも繋がるので振りとしても良質だった。

ちなみにこの過去の戦いを振り返るVTRでは原作でもF4が初めて戦った記念すべきヴィラン モールマンやスーパーエイプを操るレッドゴーストなどファンには嬉しいマイナーキャラ達が登場。特にモールマン戦は原作コミックの1シーンをまんま切り取って実写化した場面もあり思わずニヤリ。

モールマンに関しては本作終盤で意外な活躍もあったりする。

話を戻すがとにかく個人的にこの「地球のリーダーF4!」「みんな大好きF4!」って空気が個人的に凄く好きなのよね。

『スパイダーマン』シリーズや直近だと『スーパーマン』なんかでもやった守るべき人達、守って来た人達に罵声や批判を浴びせられてしまう展開。

それでも立ち上がりそんな人達も決して見捨てられないヒーローってのは善性が映えてもちろんいいんだけど正しいことをして来た人達が正しく愛されているこの世界もまた良き。

…まあ本作においても今書いたヒーローが助けた人達から背中を刺される様な展開自体はあるんですけどね。

しかし!この展開の調理の仕方も個人的には全然良かった!

今書いたようなこういう展開は言うまでもないが見ていて非常にヘイトが溜まるパートであり、あんまり長かったりクドイとちょっとうんざりしちゃう(無論カタルシスへの前振りにもなる訳だが)。

しかし本作はこのようなパートを割とサクッと終わらせてくれるし、その際のスーザンの演説は噛み砕くなら「心配しねぇでも誰も死なせねーからついて来いお前ら!」というような男前過ぎるものでかっこいい。

これをきっかけに人類皆家族の精神で人種も国境も超えて地球が一丸となりギャラクタスへの対策作戦を実行に移すことになる。誰も足引っ張らないからストレス無いし全員が最善を尽くそうとしている姿は熱い。

言っちゃあなんだが民度がアース616とは比較になりませんよ。なんたって828の人達はレンガを持ってない。

またF4全員やっぱりいいキャラだなぁって思えるシーンも目白押しなのでキャラクター映画としての強さも盤石。

伸縮自在の体を持つ天才でチームのリーダー。しかし頭が良過ぎるが故にギャラクタスを前に最悪を想定し、最善を思いついてしまいそれに苦悩する姿や天才だが完璧では無い部分がフォーカスされるリード

フォースフィールドを操り透明化、バリア、攻撃なんでもござれのチームの主砲。母となり優しさ以上に逞しさを推す描写が多いもんだから結果紅一点なのにチームの誰より男前なスーザン

個人的に本作最推し。チャラ男だけど実は誠実で誰よりも家族思い。これまでの作品では描いてこなかった頭脳キャラとしての部分も深掘りされて八方隙のない良キャラとなった燃える男 ヒューマントーチ/ジョニー・ストーム

気は優しくて力持ちの代名詞。本作では容姿を恐れられるようなシーンも無く他の3人と同じく子供から大人にまで愛されている姿が個人的に刺さった。決め台詞を恥ずかしがる件は言わずもがな。怪力岩男 ザ・シング/ベンジャミン・グリム

そんな4人をお世話するお手伝いロボ。正直出番のバランスの問題でフランクリンより可愛いってなるし終始有能な姿はさながらMARVELR2-D2 H.E.R.B.I.E

ジョニーは従来のベンをおちょくる悪ガキ成分がオミットされ大人しくなっているが軽口とムードメーカーとしての活躍は相変わらず。一目惚れしたシルバーサーファーの言葉を理解しようと1人頑張る健気な姿や、 なんかんやで公私混同はしない紛れもなく地球の守護者の1人なんだと思わせてくれるかっこよさもある。

特にギャラクタスとのラストバトルで彼の踏み切った行動と言葉はベタだが心震えた。

ドラマ部分で特に好きなシーンはギャラクタスのいる宇宙に向けロケットを飛ばす前日の夜に2人で話すリードベンのやり取り。世界一の天才で地球の文化レベルを上げた偉人であるリード「お前は思っているほど頭が良くない」って遠慮なくベンが言うんだけどこのシーンのやり取りの親友感、家族感が私はたまらなく好きでね。

キャラクター良し、世界観良しでこれだけでも価値のある一作。見終わった後貴方もきっとアース828人のようになっている筈だ。

待望の実写化!コズミックビーイング ギャラクタス降臨

転載:https://www.youtube.com/watch?v=bWkbgR2jGcw

本作は根っこはファミリー映画であり中盤はスペースオペラ、そしてギャラクタスとのラストバトルはさながら怪獣映画のような様相となり2時間の中でジャンルが切り替わるので飽きない作りになっている。

こっちも怪獣かい!

なんかあっちと色々符号する要素多いな!

注目すべきはやはりギャラクタスの完全なる実写化だ。

2007年公開の『銀河の危機』で一度実写化されているものの彼方は原作コミックからかなりアレンジされており巨大な意志を持った災害のようなニュアンスで描かれたためにコミックの姿をまんま実写にするのは今回が初となる。

話が逸れるがMARVEL映画をまだFOXがやってた時代って「スーパーヒーロー映画をコミックまんまにすると見てらんないからアレンジはマストな?」みたいな空気あったよね。それが現代では原作まんま飛び出したようなコスチュームでも全然受け入れられるようになったのは時代とヒーロー観の変化なんだろうか。

もっともそのアレンジが見事にハマり名作『スパイダーマン』ヒュー・ジャックマンウルヴァリンが生まれたので当時の空気がダメとかそんなんじゃないけどね。

話を戻すがついに完全なる実写化を果たしたギャラクタスは迫力満点。圧倒的存在感で本作を彩った。

ちなみに吹き替えは楠大典さん。テニプリの真田とかの人ね。銀河万丈さんサノスに勝るとも劣らない全てを飲み込むラスボスボイスがピッタリとハマっていた。

ギャラクタスがついに地上に降りるシーンはワクワクが凄かったね。作戦があるとはいえこんなやつにF4はどうやって立ち向かうんだ!?と思わず童心に帰ってしまった。

地上に降りてすぐ地球の生命力を感じるためなのか地面を鷲掴みにして土の香りを嗅ぐというちょっと衝撃のシーンも。今から食べるものを値踏みするようなムーブは超常存在なのにやけに人間臭い。あと普通に行儀悪い。

それとF4の本拠地であるバクスタービルに向けて直進しそれを見たH.E.R.B.I.Eがシャッターを閉めて防御するんだが一拍の静寂の後にズドーン!とビルに腕突っ込んでくるシーンはめちゃくちゃ怪獣映画やってて好き。『ゴジラ』シリーズでも見たことあるやつだ!

MARVELで見る怪獣映画というのは新しく見応えもありギャラクタスの誤魔化し無しの実写姿に往年のファンも喜んだことだろう

が、しかし…

少なくない残念ポイント

転載:https://www.youtube.com/watch?v=bWkbgR2jGcw

ここからは本作の主な残念ポイントを上げていきたい。

まず本作は基本的に「意外性」というものがあまりない。

「え!」とか「まさか!?」とな「アレがあそこに繋がるなんて!」みたいなびっくりな展開や裏切りがあまり無く概ね予想通りに話が進んでしまうためシナリオに関しては凡庸と言える。

次に個人的に結構ダメだったポイント。それはギャラクタスのヘラルド(奴隷)でありもう1人のヴィランと言えるシルバーサーファーの扱いについてだ。

知ってる人は知っているだろうがそもそも原作のシルバーサーファーは男である。銀色全裸マンだ。それが今作ではあらすじの通り女性に変更され銀色全裸ウーマンになっている。

まあ原作じゃ男だったキャラが実写化されるに当たって女性にされることは前例が無いわけじゃないしそこはいいんだ。問題はシナリオ上で女性になった意味があるか否かってことだと思うし。

で、残念ポイントだっつってるんだから分かると思うが…無いんだなあ。これが。全然男のままで良かった。

わざわざ女性にした旨みがほぼ出てない。強いて言えばジョニーシルバーサーファーに一目惚れする展開があるのでそこのラブロマンス展開の兼ね合いなのかなって気はするんだけど、逆に言えばそれ以外変更の意味を感じなかった。

今作のスーザンは妊婦なんだしその辺ともっと絡めば女性にした意味を更に感じれて良かったかもしれない。

またシルバーサーファーの魅力はギャラクタスヘラルドでありながら地球人達の必死の抵抗を見て感動し主人を裏切って地球の味方をするという有名なドラマに代表されるようなヒーロー性や高潔さである。かのスタン・リー「シルバーサーファーは最も高潔なヒーローだ」と太鼓判を押し気に入っていたという。

何よりの問題はそんなキャラクターをせっかく出していながら女にしたとかそんなんどうでも良くなるくらい映画全体で活躍が少ないってこと。マジで『銀河の危機』の方がシルバーサーファーの掘り下げはちゃんとやってた。

まあめちゃくちゃデカい活躍もあるっちゃあるんだがそれもなんか唐突過ぎて乗り切れないっていうか、アレをする前にもうちょい段階踏んで欲しいっていうか。

とにかくシルバーサーファー周りはかなり残念と言わざるを得ない。ギャバンの元ネタやぞ(ソース無し)!あばよ涙!

前項で褒めたギャラクタスとの戦いに関しても不満が残る。

最初こそ書いた通りワクワクするのよ。敵は圧倒的超常存在。こちらは4人。頼みの綱はたった一つの作戦。

4人が連携しながらなんとか作戦を成功させようと各々が能力を活かし足元を掬ってやろうと奮戦する姿も抜群で「過程」は面白いんだ。問題はこの戦いの「決着」にある。

詳細は避けるが簡単に書くと4人が極限まで追い詰められたその時とあるキャラ1人のパワーが異常なレベルで覚醒し、ほぼそのキャラ1人の力でギャラクタスを押し返し始めるのだ

いやあ…それはないだろう。いくらなんでも。

並のヴィランなら何も言いませんよ。これが悪魔博士なら文句はなかったかもしれない。アツカマシーでもまあ許した。

ただギャラクタスはダメよ。ギャラクタスだよギャラクタス

ヒーローたった1人の力で勝っていいやつじゃ無いんだよギャラクタスは。

参考までにコミックでギャラクタスをダウンさせた時の状況を書くと…

・そもそもエネルギーカラカラで死にかけ+テラックスというヘラルドに裏切られそいつを始末した直後のコンディション最悪状態のギャラクタス

VS

Mr.ファンタスティックシングジョニーアイアンマン キャプテンアメリカソーワスプDr.ストレンジ(withデアデビルスパイダーマン

これでようやく勝てるくらい戦力差のある相手なんだ。

まして本作のギャラクタスは手加減こそすれ体調は万全。いくらアメコミのキャラの強さは割とノリで変わるとは言え流石に…

一応1人で「撃破」したわけではないし、そのキャラを起点に残る3人+aがサポートしたりしてやっとこって感じだったし、今回ギャラクタスは別にF4を倒しに来たとか地球を食べに来たとかじゃないまた別の目的があるから本気でやれてないとかの理由付けで最低限のラインは守ってるんだけどなんかなあ。

なんかもっとリードが用意していた発明品を色々使うとか、F4の思いもよらない連携プレーとか、そんなんが色々あって最後の一押しが1人のキャラのパワーなら良かったんだけど。

その唐突なパワーアップからの逆転はまるで70〜80年代くらいのまだ洗練されていないころの大味なヒーロー映画のよう。奇跡的に本作は全体的にレトロな雰囲気に包まれてるしこの展開も狙ってやった可能性が…?

ギャラクタス周りは一回置いとくとして最後に残念までは言わないが気になった細かいところをバーっと。

吹き替えで見たんだけどベンの吹き替えがちょっと軽いな。もっとずっしりおっさんボイスが好み。

予告でも推されていたベンの決め台詞いじり。それ自体は面白いし好きなんだけど決め台詞の和訳が「お仕置きの時間だぜ!」だったのがちょっと気になった。

私は完全に「鉄拳制裁タイムだ!」派なので。

「ムッシュムラムラ!」派はお帰りください。

あとジョニー「フレイムオン!」って言ってくれないのよ。言ったのは劇中で発売されてるヒューマントーチのおもちゃだけ。

ジョニーシルバーサーファーのラブロマンスがイマイチしっくり来なかったし、ラブロマンス担当は例によってベンで良かった気もしたなあ。

原作ではベンにはアリシアって盲目の恋人がいるんでね。今作にも一応ベンのラブロマンスが本当にちょろっとだけあるんだけどあまりにも薄味すぎる。

ギャラクタスは前述通り、シルバーサーファーともまともに戦うシーンがないのでF4のアクションをもっと感じれるバトルシーンが欲しかったなってのもある。

やはり地に足ついて戦う等身大のヴィランが1人くらいいてくれた方がもっと4人の能力を楽しめるパートが増えたと思う。最初のVTRで色んなF4の活躍シーン自体は見れるんだけどね。

キャラはいいがアクションにやや難あり、物足りないって感想は『サンダーボルツ』に引き続きだなそういや。

総評

というわけで『ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップ』の感想/紹介でした。

総評としては

全然面白いし好きだけど、文句を挙げろと言われりゃ割といくらでも出る!!!!

ですね。

ファミリー映画、キャラクター映画としては十分なクオリティで世界観も魅力的。決して駄作と切り捨てたくはない。

が、主にヴィラン周りでの不満は少なくなく『超能力ユニット』に比較して個人的に気になる部分もそれなりにありシナリオも特出した部分に欠ける。

いいシーンを思い浮かべようとするドラマパートであることが多く、ヒーロー映画には欠かせないアクション部分のパワーも十分とは言い難い。

前半の加点が後半の減点に打ち消されたが最終的には加点が勝ったので私的には「面白いクラス」の中にいるけど下の方って印象かな。

『ドゥームズデイ』ではさらなる4人の活躍に期待しよう。

あとその前振りとしてドゥームの匂わせも今回めちゃくちゃしてるからね…

どえりゃあ楽しみにしてっからよ。さっさと『ファースト・ステップ』見にいこにゃあ。

ほいじゃーまた。

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