ヘルボーイの歴代映画シリーズももちろん観てる男 アメイジングRYOです。
おっさんなのにメンタルが思春期ボーイだったり、お父さんをパパって呼んでたり、グーで殴った方が早いのにデカい銃を好んで使ったり、映画しか知らないけど凶悪なビジュアルや容赦ないバイオレンスアクションに反して溢れ出る可愛らしさのギャップがキャラクターとして凄く魅力的だと思ってます。
今回はそんなヘルボーイの新作を見てきたので紹介と感想を買いていきますよー
あらすじ
時は1959年。
超常現象調査防衛局〈B.P.R.D〉に所属する地獄から来たスーパーエージェント ヘルボーイとその相棒のジョー(ヒロイン)は危険なジョウゴグモを本部に運ぶ途中トラブルで列車から投げ出され不気味な森に着地する。
途方に暮れる2人は森の中で寒村を見つけ助けを呼ぼうとするが、そこに住む人々は魔女が起こしたという怪奇に苦しめられていると知り危険な現地調査に乗り出すことに。
時同じくして村にもう1人の来訪者が現れる。
名はトム・フェレル。
かつて村に巣食う悪魔 クルキッドマンに魂を奪われたという村の出身者であった。
数奇な運命に引き寄せられた3人は力を合わせ閉ざされた寒村に潜む強大な魔女と悪魔を打ち破ることは出来るのか
宣伝されて無さすぎる!

まず最初に本作の話をする前に雑談めいた話題になってしまうことをお許しください。
皆さんは今年の7月はスーパーヒーロームービー月間なのをご存じだろうか。
11(金)にはスーパーヒーローという概念そのもの。全てのヒーローの始祖たる赤パンツのあの男 スーパーマンの新作が公開。
25(金)にはMCU作品でこれまたMARVELヒーローの始祖と呼ぶのも間違いじゃないファンタスティックフォーの新作が公開。
ちなみに同日に仮面ライダーガヴ&ゴジュウジャーの夏映画も公開され映画館はまさに日米入り乱れるヒーロー大戦状態。
無論、アメコミ原作のヒーロー作品であるこのヘルボーイもその大戦に参戦している(と私は勝手に思ってる)。
つまりスーパーヒーロームービー月間の口火を切ることとなるのが今作なのだが…
これ宣伝されて無さすぎない?
いうて『ヘルボーイ』って過去3回も実写化されてる割とビッグネームなアメコミ作品なのに多分本作をやってること自体あんまり知られて無さそう。
CMをはじめ宣伝をほぼ打たれてないし、上映館数もだいぶ絞られてるようだしハナからあんまり期待されてない無名作品みたいな扱いでちょっと寂しい。
今やアメコミ実写映画は一定の地位を確立したと言っていいのだからもっと強気に出てもいいと思うんだが…。
とはいえ私は宣伝が打たれないせいで全然話題になってないだけで内容自体はちゃんと面白く、中には名作と呼べる作品も間違いなく存在することを知っている
・見た後最高にハッピーになれる私の映画史に深く刻まれた一作『フリーガイ』
・DCヒーロー達のペットが活躍するという変わり種で子供向けな雰囲気ながら内容はしっかりとしたヒーロー物な『DC がんばれ!スーパーペット』
・バタ臭いキャラデザやアニメーションが人を選ぶが世界を知り旅立とうとする子供と、そんな子を思う親の苦悩という2つの視点で紡がれるドラマが見応え抜群な『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』
この辺りの作品はいずれも良作ながら日本であまりに宣伝されな過ぎて伸びなかった残念な作品群だ。『フリーガイ』なんてパンフなくて当時ビビったもんね。あんな笑って泣けるエンタメ作品なのに。
なので今作もまた宣伝されな過ぎた不遇の名作になるんじゃないかなと思いながら見に行ったのだがその結果は…
雑談が長くなり過ぎて失礼。次項から映画の中身に触れていこう。
ゴシックホラーなヒーロー映画(?)

まず今作の内容はいわゆるヒーロー映画とは全く異なるものである。
森の中の閉ざされた寒村という限定的な空間で起きる怪奇現象から人々を救い、そして1人の青年を立ち直らせるために戦うという内容で話の規模としては非常にミニマム。且つヒーロー映画というよりはホラー映画としての毛色が強い。
その為ヒーローがヴィランをやっつけるヒーロー映画然とした内容を期待して行くとかなり肩透かしを食らうしホラーが苦手な人は注意。虫を使っての恐怖演出もあって「うわっ…」て場面もあるからそういうのがダメな人もご注意を。
ならばホラー映画好きなら楽しめるかというとこれも際どいかな。
私はホラーはあんまり見ないしどちらかといやあ怖がりなんだがそんなホラー耐性無い寄りの私が見ても
「(怖いな…)」「(怖いけど思わず見ちゃうな…)」
とはならなかった。
大きな原因は驚かせ方のパターンがあまり無く手法が安直なことにある。
溜めて溜めて…はい!ここでクソデカBGM!みたいなパターンが多過ぎて次第に慣れる。メインヴィランとなるクルキッドマンのビジュアルは結構しっかり怖いだけにビジュの良さを引き立たせられるようなショック演出が無かったのは痛い。
あと画面が基本暗いし会話劇が映画全体の7割を占めるので人によっては猛烈な眠気に襲われるかも知れない。シチュエーションが限定的過ぎて絵変わりがほぼないのも退屈さを加速させる要因になっているか。
巨大蜘蛛や巨大ヘビなど出てくるシーンはCGが浮いてしまっていて一目でCGと分かってしまってこれまた集中力を削がれる。
一言で書くと低予算なんだよね。そして低予算なことをあまり誤魔化せてないのが良くない。
制作に原作者のマイク・ミニョーラが参加しているのでストーリーはかなり原作に忠実にできているらしいので原作知ってる人なら楽しめるんじゃ無いかなって気はするんだがいかんせん私がそうじゃ無いんでなんとも言えない。
シチュエーション自体はホラーサスペンスの定番だしそこに魔女やら悪魔やらのアメリカンホラーテイストが加わって人によってはしっかり刺さる作品な気はするんだけど…
ただこれまでのシリーズで描いてこなかったヘルボーイの母に触れたのはちょっと興味を惹かれたね。ヘルボーイのオリジンって大体地獄から召喚されたんだよーで終わりだったからさらにその前のどう生まれたのかとか母がどんな人なのかってのを掘り下げてくれたのはいいと思う。
前述したがクルキッドマンや魔女のビジュアルは非常にいい。クルキッドマンは醜い邪悪な悪魔を見事に作り上げているし、可愛い顔して他者を誑かす妖艶な魔女は演じる女優さんが美人なのでトムが誘惑に負けたのも分かるという説得力を生んでいる。総じて味方も敵もビジュアル面に不満はない。
人類を破滅させたり地球を終わらせてしまうほどの力を持ったスーパーヴィランとの戦いが基本の昨今のヒーロー映画に反して、村でデカい顔してる怪異をしばくというあまりにコンパクトなストーリーや地味さも魅力の一部ではあると思う。
個人的には不満のが多いけど間違いなく褒めるべき部分のある作品だった。
歴代シリーズに比べると…

最後になんで私にイマイチ刺さらなかったのかについて考えてみる。
一番デカいのはこの記事の冒頭で書いた「ヘルボーイのここが好き!」な部分が悉く描かれてないってとこだと思う。
今作のヘルボーイはかなりしっかりした大人で、おっさんなのに時折発揮する可愛いらしさというのがほぼ無い。これは本当に残念。
…いや、今作が原作に忠実ならばひょっとしたらあの可愛いおっさん属性自体映画で追加されたもので原作のヘルボーイはもっと普通に渋いおっさんなのか?
今作のヘルボーイが正しいのか?
まあそれは分からないがとにかく歴代映画シリーズで培った私のヘルボーイ像と今作のヘルボーイが上手く重ならなかったのは間違いない。
あとやっぱりアクションが足りなすぎるね。
ヘルボーイといやあ拳骨と下手くそな銃で魔物も悪魔もぶっ潰すパワフルなアクションも売りだと思うんだが今作はホラー映画としての要素が前に出過ぎてアクションらしいアクションが本当に少ない。
単純にヒーロー映画観に行ってるのにそこが少ないとどうしても不満が出ると思う。
とにかくヒーロー映画らしいパワーが足りない!
まあ何度も書くが今作はジャンルで言えば完全にホラー映画なんでそこを調べなかった私の落ち度ではあるんだが…。
総評
というわけで『ヘルボーイ:クルキッドマン』の紹介/感想でした。
かなり不満が残ったがヒーロー映画ではなく低予算ホラー映画を観に行くんだと頭のチャンネルを切り替えておけば楽しめる余地のある作品だとは思う。
ちなみに今作は基本設定は知っているものとして展開されるのでヘルボーイを全く知らない人が行くとそれはそれで飲み込み辛い箇所があるかも。
原作知ってるって人なら行けばその忠実さを楽しめたりするのかも知れないのでファンならそういう楽しみ方が出来るかも?
しかし今作はタイミング良くないよなあ。
ぶっちゃけ知名度から言ってもヒーロー映画見たいなら今作より断然『スーパーマン』か『ファースト・ステップ』行くだろうし。うーむ厳しい。
多分そう長く公開されないんで行くならお早めに!
それではまた
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