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夜中にラーメン食べちゃうみたいなギルティは犯さない男 アメイジングRYOです。
腹減って起きてなんか食べるとか男の一人暮らしならあるあるっぽいがやらないんですよ。育ちの良さのおかげだろうか。
『ガヴ』の映像作品も残すところコレと『仮面ライダーヴラム ルートストマック』のみ…!
ネタバレ少なめで語っていきましょう
あらすじ
近頃絆斗は突然来る鋭い痛みに悩まされていた。
酸賀によって移植されたグラニュート器官が痛みの原因である事は明白だったが今やそれを相談できる者はいない…
不調を押して取材の仕事なんとかこなした帰り道絆斗は2人の少女が半グレに絡まれているのを発見し成り行きから助け、2人に連れられ怪しげな病院に辿り着く。
訳ありな患者ばかりが集まるこの病院の闇医者 狩藤との出会いで絆斗は「ある選択」を迫られることになる。
闇菓子復活を目論むグラニュートの出現、ジャルダック家への復讐を誓うグラニュートの来訪、人間との生活を経て変わり始めるリゼル…
様々な因果が収束し再びガヴの、ヴラムの、そしてヴァレンの戦いが始まる。
復讐を巡る絆斗の戦い、再び!

辛木田絆斗というキャラクターのオリジンは復讐であり、そんな彼の本編でのドラマのテーマは一貫して「復讐と赦し」であった。
絆斗を主役としている今作でもそこは変わらず。しかし本編との大きな違いは絆斗が復讐の矛を向けられる側であるということ。
今回のメインヒロインであるリゼルはご存知の通りライダー達に父を奪われ、旦那のジープを絆斗に倒されている。今作冒頭の彼女は人間の仲間を見つけ穏やかに過ごしており本編で見せていた危うさはすっかり形をひそめているが絆斗に向けるその怒りは変わっていない。
そんな折に現れる今回のメインヴィランを勤めるグラニュート イジーク・プルト。
彼の正体は本編でボッカに暗殺されゾンビ酸賀のパーツにされた催眠能力を持つグラニュートの弟であり、ボッカへの怒りに燃える復讐鬼だ。
既に復讐相手であるボッカが死んだことを知った彼はもう1人の悪役の口車に乗せられ復讐の矛先をリゼルにシフトチェンジし迫る。
絆斗を許せないリゼル、そんなリゼルを狙うイジーク、そして憎まれていようとリゼルを救いたいと願う絆斗という三者を中心に物語が展開されるのが本作の特徴である。
復讐をテーマにする時に単なる逆恨みにしてしまうと因果応報になってちょっと話がブレると思うんだよね。そこへ行くと本作は実にそこを真面目に描いてるなと思った。
イジークの怒りは逆恨みでもなんでもなく実に真っ当。身内を奪った相手に復讐しようとするという点から察するにある種アナザー絆斗みたいな意味合いのあるキャラなのだろう。本編でのラゴーを赦すことの出来なかったIFの絆斗がイジークみたいな。
ボッカへの復讐に燃えていたのに既にボッカがいないと分かり、ならば兄の暗殺には関与していないその娘を復讐相手の身内だからと手にかけようと暴走し、周りの声など聞かずに暴れ続け、果てはリゼルが住む人間世界までもを壊し奪おうとする様はまさに坊主憎けりゃ袈裟まで憎いを体現した哀しき戦士。一歩間違っていれば絆斗もこうなっていたのかも知れない。
復讐の理由が真っ当でも、どんなに正当性があろうと行きすぎれば復讐の炎は飛び火しまた別の復讐の火種になってしまう。それを知る絆斗は復讐の連鎖を断ち切るべくイジークの前に立ち塞がる。
復讐を巡るドラマを一年やり続けた絆斗の歩みが結実する戦いを是非劇場で。
手堅いアフターストーリー

今作は本編のその後を描く話としても実に手堅い作りになっている。
最終回後のリゼルはどうしてるのか、人間界に残っている元バイト達はどうしてるのか、絆斗は戦い終わっても病院行けないままで大丈夫なの?
などなど最終回時点で残っていた細やかな疑問点には大体答えてくれている丁寧な作り。
リゼルって本編だと微妙に書き込みが足りてないキャラだったように思うんだがメインヒロインに抜擢された今作でグッと魅力的になったと思う。
帰る場所も行き場もない人間の少女達と行動を共にし意外なほど順応し、穏やかになり、仲間意識が芽生えていい子になってる姿や中盤では本編では見れなかった幸果との絡みが重点的に描かれたりと彼女の新たな魅力をたくさん発見できるようになっている。
リゼル×幸果パートは例によって幸果さんが光のギャル過ぎて眩しい…。直視できないほどに…!
また絆斗の体関係の話は今回のもう一つの主題だけありドラマチックに面白く描かれていてお気に入りポイント。
戦いが終わりもはやグラニュート器官は必要無くなったが酸賀がいない以上手術してくれる人はいないし途方に暮れる絆斗の前に現れた闇医者 狩藤。彼の登場で絆斗は器官を摘出し普通の人間に戻るという選択肢を与えられることになる。
力を捨て普通の人間に戻るか、仮面ライダーとして生き続けるのか。葛藤する絆斗が決意を固めるシーンに至るまでの流れが特に気に入ってる部分だ。
絆斗は今回再会したリゼルを助けようとするのだがリゼルからすれば仇の手なんぞ借りたく無いわけで当然拒絶されてしまう。そんな時絆斗の頭に過ったのはかつて荒れていた自分を塩谷さんが救ってくれた時のこと。
傷ついた自分の話を聞いてくれて、生き方を与えてくれた。あの時塩谷さんがしてくれたのと同じようにリゼルの力になってあげたいのに今の自分は未熟で同じように出来ない。
迷って苦しんでる子供に手を差し伸べて助けてやれるそんなかっこいい師匠のような大人になる為には死ぬわけにはいかない…!
なら俺が選ぶべきは…!
って流れ。これがいいのよ。本編では早々に殺されてしまい出番は少ないがやっぱりいつまでも絆斗にとってのヒーローで憧れは塩谷さんなんだなって。
仮面ライダーとしてだけでなく大人としてもかっこよくあろうと戦う絆斗に注目して欲しい。
少し話がズレるが『ガヴ』といえば香村節の効いたダークでえげつない展開も番組を面白くしてくれた要素の一つ。それはきっちり今作でも健在なのでご安心を。
人間とグラニュートの関係と距離感って他作品の人間と怪人のそれとはちょっと違う独特なものだ。
人間から見てもグラニュートから見ても両者は全く未知で未開の生物。故にグラニュートは人間を乱獲しスパイスにすることに迷いが無かった。
初めて見つかったものを食えるかどうか調べるというのは多分そんなに変なことじゃ無いしな。美味いと分かればガンガン捕まえるのもまあ自然。
TV本編ではグラニュートによる人間への食害が描かれた訳だが、グラニュートにとって人が新しい食材ならばその逆はどうかな…?
というところに踏み込むのが今作。
もう何回書いてるか分からんけどえげつなさが本当に『アマゾンズ』なのよ…
ゲストがみーんな〇〇が良い

最後にゲストキャラクターについて軽く。
今回新キャラクターがそこそこ多いが主に活躍するのは3名。
まずは上述した闇医者 狩藤綾巳。演じる荒木宏典さんは『ゲキレンジャー』にも出演していた戦隊OBである。胡散臭くも色気のある謎多き男を好演。
『ガヴ』といえばレギュラーで登場する科学者が3人中3人マッドだったり、この上映画でまで1人マッドサイエンティストを増やしたり一年間ずーっと「科学者はやべーやつ」という印象操作を行なって来た。すっかりそれに毒された我々としてはアングラの闇医者な狩藤を怪しいと思わない理由がない。
結構中盤、いや終盤に行くまで荒木さんの演技もあって読めないのよ。敵なのか味方なのか…そんな疑いが集中力を生み映画をより楽しんでしまった。やられたぜ。
狩藤の正体とは…やはりこいつもマッドなのか!?
真実は劇場で。
2人目のゲストキャラクター。リゼルの所属する半グレ女子グループをまとめる男 ググナ。演じる田淵累生さんはいわゆる2.5次元系の舞台を中心に活躍しているイケメン俳優だ。
こいつは狩藤と違い分かりやすい一貫した悪いやつで序盤に正体を表して以降作中を飛び回り引っ掻き回していく。口が上手い策略家で相手の要求をダシに巧みに操り自身の目的である闇菓子復活を目指す。
ググナには人間の協力者がいることが序盤で示唆されることになる。この協力者とは誰なのかというミステリー要素が中盤の肝になるポイント。
そして3人目はイジーク・プルト。今回のメインヴィランでありヴァレンの新フォーム パルフェモードと戦うことになるのも彼。
おそらくは北欧神話のヘラクレスがモチーフと思われるゴッツイ姿のグラニュートで独特な形状の棍棒と電撃を武器に戦う。cv.を担当するのは木村良平さんだ。
リゼルへの復讐を完遂すべく彼女を追い詰め、捕らえた際にはあまりに酷い目に遭わせようとしたり作中では一貫して凶悪なものの木村さんの演技が実に巧み。
復讐心でおかしくなっただけで実は悪いやつじゃないんじゃないか?って自然と描かれていない彼の本当の姿を考えてしまうようなキャラクターに仕上がっているのが特徴。
で、木村さんは言うまでもないんだが荒木さんも田淵さんもめっちゃくちゃいい声なのよ。
なのですごく耳にいい映画です。
次回
というわけで『仮面ライダーガヴ ギルティ・パルフェ』の感想と紹介でした。
何かとんでもないサプライズがある訳じゃ無いが本編でやり足りなかったことや最終回で描ききれなかった部分をきちんと描いてまとめた手堅い一作。
あと上の感想で書けなかったけど狭ーい場所での工夫を凝らした藤田アクションは本編と変わらないポイント。
とにかく絆斗がかっこいいのでハンティ推しなら絶対劇場にダッシュだ!
それではまた
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