ゾンビ映画を通って来なかった男 アメイジングRYOです。
『ウォーキングデッド』とか『アイ・アム・レジェンド』とか知ってるけど見たことない。
アレだって特撮だ。ちゃんと見ないとな。
最近ハズレがないMARVELアニメーションの新作は恐ろしい後味だった…!
語っていきましょう!
あらすじ
ハンク・ピムが量子世界から持ち帰ってしまった未知なる量子ウィルスは瞬く間にパンデミックを引き起こしヒーローも、ヴィランも、守られるべき人々も等しく生者を喰らう生ける屍 いわゆるゾンビと化してしまった世界。
この過酷な世界で力を合わせ生き延びていたカマラ・カーン、ケイト・ビショップ、リリ・ウィリアムズの3人はある日墜落したクインジェットの中で送信機を発見する。
起動すれば瞬く間に宇宙の彼方にまでSOSを発信できるという送信機を残存していたS.H.I.E.L.Dのオハイオ基地に届けるべく3人は命懸けの旅に出ることに。
襲いくるゾンビと化したかつてのヒーロー達を掻い潜り、旅で出会う新たな仲間と紡いだ絆を胸に進む道の果てに未来はあるのか…
凄惨な世界と最悪のヴィランを前に少女の下す決断とは果たして…
『ホワット・イフ…?』の正統続編!?

まずは本作の概要から。
今作は2021年にDisney+で配信された名作アニメ『ホワット・イフ…?』のシーズン1 第5話「もしも…ゾンビが出たら?」の正統続編となる作品。
なんのこっちゃ分からん人に噛み砕いて説明するとまずマーベルコミックに『ホワット・イフ?』ってシリーズがあって、これはマーベル世界やヒーローにとっての大きな転換点となるイベントで世界やヒーローが正史とは違う道を辿ったらどうなっていたのかを追求する。正史世界とは切り離してまさにタイトル通り「もしも…」の世界を描くという人気シリーズ。
日本の漫画で言うなら
「もしも悟空が惑星ベジータでそのまま育ったら?」
「もしも新一じゃなく蘭が縮められていたら?」
「もしも海原雄山がマヨラーだったら?」
「もしも遊戯がもっとシルバー巻いてたら?」
などなど。こんなのが通常の連載とは別で展開されるわけだ。そりゃ人気出るよな!
…例えで出す作品が古いな。もっと『チェンソーマン』とか『鬼滅の刃』とかで例えられんのか。
閑話休題。で、2021年にこの『ホワット・イフ?』がDisney+にてアニメ化。
原作をアニメにするのではなく、ベースとなるのはMCU世界。つまりMCU世界での「もしも…?」をアニメで描いていく完全オリジナル作品として配信がスタートしたのだ。
これがまあ名作揃い。MCU好きなら絶対見て欲しい。現在S3まで配信中だ。
そして本作はその『ホワット・イフ…?』の1エピソードのその後を描いたという内容。なので本作を見る前にまずそっちを見ておいた方がいいね。
何故ゾンビが出るようになったのか、アベンジャーズはどうなってしまったのか、なんであいつやあいつがあんなことになっているのか…などあらゆる説明はそっちで済ませていて今作での説明はほぼないのでね。
自分は『マーベル・ゾンビーズ』がやるって聞いた時てっきり『ホワット・イフ…?』でやったのとはまた別に新たにやるんだと思っていて前作を見返すこともせず見始め3話でやっと続編であることに気付いた。
基本設定とか全部忘れてたんで後から前作見直して色々思い出したよ。みんなは是非前作見てからこっちを観てね。
特にスパイダーマンを中心とした物語は完全に前作からの地続きなので見ないともったいないぞ!
概要と注意はこの辺にして感想に移ろう。
弾ける四肢に飛び散る内臓!そして容赦ないシナリオ…!

本作は一言で書くなら「マーベルの世界でやるゾンビ映画」である。
まあそんなのは言われないでもタイトルで分かるよね?
しかしながらこれがめちゃくちゃ魅力的な世界観を作っている。
だって想像してみよう。スーパーヒーローもスーパーヴィランもみんなゾンビになっちゃってそれと戦うのもスーパーヒーローなんだぜ?
しかも舞台はゾンビ映画らしく荒廃し切ったポストアポカリプスな世界なんだぜ?
こんなもん面白いに決まっとろうが!お子様ランチじゃん!ミックスフライ定食じゃん!ルーサーバーガーじゃん!
今作はヒーロー映画作品らしく様々なヒーローの技や能力を楽しめる一方で非常に真面目にゾンビものをやっているのも好感度が高いところ。
世界中ほとんどの人間がゾンビと化してしまった終末世界、生者の肉を求め襲いくるゾンビ、食われた人はまた新たなゾンビになってしまうので主人公達を助けるために犠牲になったヒーローが次の瞬間にはゾンビとなって襲いかかってくるから結果助けてくれた仲間を殺すしかない無情さ、振り切ったゴア描写に絶望的な展開の数々…
ゾンビものを知らなくても存分にゾンビものの基本を味わえるような構成になっている。
上記画像からも分かるように今作はゴア描写に容赦がなく四肢欠損、首チョンパ、人体真っ二つは日常茶飯事。基本は不殺のスパイダーマンすらド派手にゾンビをぶち転がす様はちょっとした爽快感すらある。同時に「普段は抑えてるヒーロー達の殺意マックスファイト」を見れるのも大きな特徴。
もちろんグロテスクに死ぬのはゾンビだけではない。味方も本当にあっさり溜めもなくサクッと殺される為見ていて気が抜けない。
ゴア描写が強烈と書くと警戒させてしまうかもしれないがそのほとんどは言うなれば「陽のゴア」なのであんまり気が滅入らないのが嬉しい。じわじわ拷問みたいなグロさじゃなく、爽快にはらわたぶち撒けるみたいなグロさだから場合によってはちょっとした笑いすら起きる。
寧ろエグさを感じるのはゴア描写よりもシナリオの方かもしれない。
もちろん暗くなりすぎないように陽気なジョークやコミカルなやり取り、派手なシーンを定期的に挟んでくれて忘れそうになるが物語自体は暗い。主人公であるカマラは抱く僅かな希望を次々に砕かれ、仲間を失い、どうひっくり返っても勝てない絶望的な相手と戦い、選択を迫られる…
そしてその結末の後味の悪さたるや…凄まじい。
シナリオの救いの無さに比べればグロファイト部分が癒しに感じてくるレベル。
アニメーションのクオリティは高く安定感は抜群。ヒーロー達はかっこいいし血飛沫舞うバトルは本作ならでは。
そしてストーリーはダークだが『X-MEN’97』や『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』など近年の傑作に負けず劣らずのものになっている。
やはりマーベルアニメーション強し!
マイナーメンバー?否!実写じゃやれないドリームチーム!

今作の特筆すべき点は主役となるメンバー達だ。
カマラを中心にケイト、リリ、シャン・チー、ケイティ、アレクセイ、エレーナ、スパイダーマン、そしてブレイドetc…
と、主にフェーズ4以降のメンバーで固められている。
フェーズ4ということは『エンドゲーム』以降に展開された作品のキャラクター達ということ。
MCUはフェーズ4に入ってからというもの大規模なクロスオーバー展開をやっておらずMCUの面白さの一つだった他作品同士のキャラの絡みというのがまだまだ薄いのが現状であり、実写に先駆けてフェーズ4、フェーズ5のキャラクター達が一堂に会するのを見れるのは大きな特徴。
花形のキャプテンアメリカやアイアンマンなどは不在なのでパッと見地味に映るかも知れないがそこは見ていくとみんな好きになってくるから大丈夫。
本編では地味だった筈のキャラクターが大活躍したりするのも面白いポイント。特に『シャン・チー テンリングスの伝説』から参戦したカラオケ大好きなシャン・チーの女友達 ケイティはまさかの立派な戦闘員として頼りになる仲間になってるし、デス・ディーラーも映画以上に目立つやたらかっこいいポジションに収まっていたりする。
デス・ディーラーなんて映画本編でさえさほど記憶に残るキャラじゃなかったのに…。今作で一気に存在感が増したキャラの1人だろう。
本編でほぼモブレベルだったのに今作ではメイン級になったキャラで言うと他にはリントラなどがいる。
…知ってる?リントラ。私も名前までは知らなかったんだけどインパクトのあるビジュアルなので出てきた時見覚えはあった。ドクター・ストレンジ関係のキャラね。
ニューアベンジャーズのパパことアレクセイはいつも通りのいいキャラよ。エレーナも合わせて参戦するので『サンダーボルツ』が好きな人にもおすすめできる。
『サンダーボルツ』でいうとゴーストもいるけどこっちは既にゾンビなのでヴィラン枠だ。ブレイドとの戦いは予告映像にもあったが非常にかっこいい。
そうそう。忘れちゃいけないのがブレイドだ。
今作はフェーズ4以降のキャラがメインと書いたが、このブレイドに関してはかなり現場がゴタゴタしてるのかだいぶ前に発表あったのにいまだに鋭意製作中という体たらくであり結果まだ実写もやってないのにこちらでいち早く参戦することになった。
2025年現在唯一のMCUブレイドがこの作品のブレイドなのだ。
今作のブレイドはいつものバンパイアハンター設定や鈴木雅之フェイスが大きく変わっており常に白目を光らせ、白いマントをたなびかせる騎士の如き姿となっている。
というのも今回のブレイドは月の神 コンスと契約を交わしておりそれによってコスチュームや性格が変わっているのだ。コンスは本来ムーンナイト関連のキャラクターで『ムーンナイト』もフェーズ4のMCUドラマシリーズだね。
まさかブレイドとコンスを掛け合わせてくるとは思わなかった。これぞ『ホワット・イフ…?』の醍醐味よ。
ちなみに日本語吹き替えは諏訪部順一さん。
諏訪部さんは『エターナルズ』でエボニーブレイド(?)の声も担当してるので実はブレイド繋がりの起用だったりするのかこれ?
このムーンナイトになったブレイドをはじめヒーロー、ヴィランのこの世界だけの限定形態みたいのも色々出てくるのでそこもお楽しみに。
カマラ、ケイト、リリのティーンエイジヒーローガールズの絡みとかも楽しかったよ。この3人のクロスは是非実写の方でも見てみたいものだ。リリは単独作の方でだいぶアレだったが今作では随分頼り甲斐と可愛げがある。
カマラは主人公適性が高いね。能力の応用性の高さ、基本は根明のオタクという性格、しかしながらまだまだ子供でありメンタル的に不安定という弱点、しかし確かに持っている強いヒーロー性。あらゆる面でちょうど良い好感の持てる主人公になっている。
MCUでは原作のようにただ手足が伸びるだけの能力にしなかったおかげで彼女の活躍シーンは様々な見せ方をしていて飽きない。てか君そんな強かったの!?ってなる。
本編で活躍が少ない者、まだまだ活躍の機会が回って来ない者、そもそもまだ世に出ていない者などがキャップやトニーを差し置いてメインを張る一風変わったメンバーで構成されたさながらゾンビーズアベンジャーズを楽しめるのは今作だけ!
総評
というわけで『マーベル・ゾンビーズ』でした。
マーベル×ゾンビものというそりゃ面白いだろって組み合わせで、やっぱりちゃんと面白かった本作。
MCUではそうそう見れない血みどろの戦いは爽快感があり、それでいてシナリオは前作のことも踏まえながら実によく練られていて見応えあり。
なかなか見れないメンツが送る新たなMCUを是非!
それではまた
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