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俳優・声優なんでもやってみたい男 アメイジングRYOです。
昔からとにかくメディアに出る人でありたいと思ってましたね。
一風変わった風味の最新MCUドラマが1〜8話まで一挙配信されたので感想を語っていきます!
あらすじ
俳優のサイモン・ウィリアムズは実力がありながらも役にのめり込んで考え過ぎてしまう気質が災いし使いにくい役者として業界でも忌避され不遇の日々を送っていた。
今日も珍しくもらえた仕事で監督や脚本家に注文を付けすぎた結果役を降ろされてしまい、家に帰れば付き合っていた彼女に別れを告げられ散々。
しかし気晴らしに映画館に行ったことが彼の人生を劇的に変えていく。
かつてマンダリンとして世間に知られた俳優 トレヴァー・スラッタリーと出会い彼からスーパーヒーロー映画『ワンダーマン』のリメイクが制作されること。そして近々そのオーディションがあることを知らされたのだ。
この大作に出られれば人生が変わると意気込むサイモン。役者の先輩であるトレヴァーと絆を育みながら2人は一世一代の大チャンスに挑む。
しかしサイモンには、そしてトレヴァーにも誰にも言えない秘密があった…
アクション絶無?ヒューマンドラマならぬメタヒューマンドラマ

まず本作の特徴の話から。
これまでのMCUドラマとの最大の違いは今作にはアクションと呼べるものが全くないところだ。
アクションの無いMCUドラマは前例に『ワンダビジョン』などあるがアレよりも更に地に足ついた話になっていて俳優という職業を通して超人社会で起きるリアルの一部を切り取ったような作品になっている。
MCUなので作品の前後関係やゲストなども気になるところだが今作は作品間での繋がりをあまり感じずかなり抑えめ。既存のキャラクターといえばメインキャラのトレヴァーぐらいだね。
「ヒーロー映画に疲れた貴方へ」というキャッチを付けられてるだけあり敢えて「いつものヒーロー」を避けた作品になっており、サイモンを通して描かれる売れない役者の実態や世間の厳しさなどはリアル指向で見応えもありヒーロー映画が苦手な人にもおすすめ出来る作品になっている。
ヒーローは創作物であり、焦点を当てるのはあくまでヒーローを演じる俳優。これだけ聞くと『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』など似たような趣向の作品が思い浮かぶが本作はそれらの作品とは差別化されている。
なぜならサイモンは実は超人なのだ。
そしてMCUの世界には「スーパーパワーを持つ人間は映画に出てはいけない」というルールがあるのだ。
この要素が本作に独自の風味を加えて、大量生産され続けるスーパーヒーロー映画に物申す!みたいな説教臭さや愚痴っぽさを無くしてくれてる。
本物のヒーローになれるほどの力がありながらあくまで俳優でありたいサイモン。しかし超人をほっといてはくれない社会や人々。その両者の静かな攻防ってのはMCUをベースにしているからこそ出来ることだと思う。
1人の名もなき超人が社会に翻弄されながらも友人が出来て、1人の俳優としてチャンスを掴み大きくなっていくサクセスストーリーが描かれるヒューマンドラマならぬメタヒューマンドラマはある種超人社会の日常を見せてくれたような気がした。
これ見終わった時
「(私が『シー・ハルク:ザ・アトーニー』に求めていたものを描いてくれたな)」
って思ったんだよね。
常識では考えられない力を持った超人のいる社会で法律はどのように変化しそれらに対応していくのか、被告人が超人な時弁護士にはどのように働きが求められるのか…
あの作品も最初はそういう話も取り扱っていた。あれも超人社会の日常を切り取った話だった。
これが凄く興味深く面白かったのに…
なのに…ねえ?
後半はなんか…ねえ?
あんな感じになっちゃったじゃない?
だからなんか今になって救われたというか。こういうのをあの時見たかったのよって思ったね
誰がために演じるのか。濃厚ブロマンス炸裂!

続いてもう少し中身に詳しく踏み込んだ話題を。
今作の見どころの一つにサイモンとトレヴァーの友情ドラマがある。
サイモンは実力がありながらもあらすじの通りハッキリ言ってめんどくさい役者でありそのせいでチャンスを逃してしまう悲しい男。
「悲しい男」と表現したが、実際作品見てみるとあんまりそんな感じもしないんだけどね。だって見てればスーパーパワー持ちとか関係なく普通に問題ある人って分かるからね。
不器用で融通が効かず自分を曲げられない、友達がいない、恋人にも心を開かず、追い詰められると容易くルールを侵し、挙句生活は実家からの仕送りで賄っている有様。劇中バイト的な仕事をするシーンも特にないしライバルの俳優を「アホども」と貶すなど人格面も不遇な日々でひねくれている。
母親は役者の仕事を応援しているがしっかり就職している兄からは呆れられておりそのせいで険悪。3話では母の誕生日パーティーを祝うため渋々実家に戻るのだが親戚や昔馴染みの大人達から避けられたり、馬鹿にされたりもする。
この辺は若くない夢追い人のリアルをよく描いてて胸が痛い…。
「仕事あるの?」って聞かれて「オーディションしてるよ」って答える感じとか分かるわ。オーディションじゃ飯は食えないから働いてないのと一緒なんだよな。
後半の山場であるワンダーマンの主演を決めるテストでは自分よりはるかに格上の俳優の演技にビビる様子を見せたりと決して好感度の高い聖人ではないが凄く共感を得られる人間らしいキャラになっている。
そしてもう1人の主人公 トレヴァー。
ご存知の通り彼は『アイアンマン3』にて偽マンダリンとしてMCUに登場。今回はテロリストのマンダリンをやった俳優として良くも悪くも人々から知られているようだ。
『シャン・チー』で脱獄した(正確には脱獄させられた)ことが原因で本作ではダメージコントロール局に目をつけられてしまいとある任務を持ってサイモンに近づくことになる。
今作ではサイモンに役者の先輩として色々アドバイスしてくれる頼れる相棒な一方で、テロリストを手伝いマンダリンを演じたことは彼の傷になっている。しかし世間的には完全に「マンダリンの人」になってしまっておりこのイメージを払拭しようと足掻く。
マンダリンの場合はそもそもテロリストだから話が違うが、一度強烈なキャラクターを演じちゃうと世間のイメージがいつまでもそこで固まってしまうって俳優の悩みとしてあるあるらしいしトレヴァー周りの描写はそれのメタファーな気もした。
高橋文也をまだ「或斗社長」って言っちゃう人、もしくは松坂桃李をまだ「殿」って言っちゃう人は一緒に注意しよう。
トレヴァーがマンダリン役を黒歴史にしようとしているってのを意識するほど最終回が熱くなるのでそこに注目して欲しい。
またサイモンに比べて社交的だがトレヴァーも非常に色々な問題を抱えた人物であり特に中盤はトレヴァーの過去のやらかしのせいでサイモン共々ピンチに陥ったりもする。
トレヴァーの過去を知る人物も登場しその人からも若い頃の問題行動を指摘されたりとサイモンとの問題の多さは五十歩百歩。
そんな欠陥だらけで歳も離れている2人が「演技」という因子で強く惹かれ合い、ドタバタと問題にぶつかりながら絆を深め無二の友になっていく様が今作の軸となる。
あと当然劇中で2人が何度も演技の練習をするシーンがあるんだけどこれも見てて楽しかったな。
特に6話は「自分ならこの状況でどんな風に演じるだろう」とか考えながら見ると面白いよ。
実質ヴィラン?悲しい悲しいドアマン

本作で1番気に入ってる4話の話を最後に。
前述通りMCU世界では「スーパーパワーを持つ人間は映画などに出れない」というルールがある。
このルールがスーパーパワーを望まず授かってしまった俳優のサイモンを苦しめることになる。明確なヴィランというのがいない本作においてさながらこのルールがヴィランというかサイモンが立ち向かわなければならない相手なわけだ。
ではこのルールがどうして生まれたのか。
それが描かれるのが4話である。
サイモンやトレヴァーがほぼ登場せず全編白黒で描かれる特殊な1話完結型のエピソード。
雰囲気としては『ウルトラQ』とか『Xファイル』とかあんな感じでその摩訶不思議で不条理で不気味なオチ含めて単発回としても実に出来が良く面白い。
この回の主役はデカール・デイビスという青年。
デカールはクラブのドアマンで生計を立てていて決して派手な仕事ではないがクラブにやって来る客達とちょっとしたおしゃべりをしたりする日々が気に入っていた。クラブのボスもいい人だし裕福では無いが充実していた。
しかしある日デカールは突然スーパーパワーを授かってしまう。流石はマーベル世界。石を投げたら超人に当たるこの世界ではスーパーパワーはその辺に転がってる。
こんな調子じゃスーパーパワーがある一般人って痩せの巨乳くらいの割合でいるんじゃないか。
デカールが授かった力とは端的に書くと「自身の体をポータルにする」ものでありドアのない場所でもデカールを通り抜ければ外に出られたりする。人間通り抜けフープってとこだな。
この力でデカールはドアマンと呼ばれ人々に知られるようになり更にパワーを使って映画スターとしてものし上がっていくことになる。
小さな幸せに満足していた彼はスーパーパワーで一躍時の人になり人気者になる。しかし芸能界に足を踏み入れたことが彼の人生を更に変えていってしまう…
という話。
デカールはぶっちゃけサイモンに比べりゃだいぶ可愛げのある人で好感度高いしそんな人がパワーに振り回されて人生が良くも悪くも変わっていく様が面白い。
30分で起承転結がしっかり出来てるし、短い時間の中で芸能人の栄枯盛衰、生きてくために笑われる役もやらなきゃいけないなど芸能界の厳しさ。描いているのも見逃せない。
総じてこれ単体でも見る価値のある上質なエピソードになっているので是非。
総評
というわけで『ワンダーマン』全8話でした。
日常の中にある非日常ではなく非日常の中の日常を切り取るメタヒューマンドラマというこの路線は個人的に非常に好き。
ヒーローとはなんぞや。みたいな普遍的なテーマも最後の最後で描いていたりするし各話30分程度で見れるのも手軽でありがたい。
いつものMCUに飽きてしまった貴方に是非見てほしい逸品だ。
それではまた。
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