前回 俺はお菓子を信じてる【仮面ライダーガヴ 第49話】感想 ガヴライダーズ最後の戦い
『ガヴ』の影響で間違いなくこの一年の菓子の量が例年より増えた男 アメイジングRYOです。
『ウィザード』の時はミスド(もちろんシュガーレイズド)をたくさん食べたし、『ドライブ』の時は飴をよく舐めたし、『ゴースト』の時はたこ焼きをしょっちゅう買っていた…
食生活すらヒーローに支配される。それでいいじゃないか。
間違いなく名作だった『ガヴ』…
その最終話を語っていきましょう!
あらすじ
人間のお菓子の力を信じたショウマによる逆転の一手は見事ランゴの計画を打ち破った。
長き戦いを終わらせるべく遊園地を舞台にストマックの長兄と末弟は再び相対する。
一方、絆斗は復讐者となったリゼルと彼女を気遣うジープを見て不毛な憎しみの連鎖を断ち切ろうと提案するが…
そしてラキアは1人悲壮な決意を胸に扉の間にやって来ていた。
種族を超えた「幸せ」を巡るこの戦いの決着は果たして…
全フォーム使用の最終決戦!鏡写しの兄弟

まずはショウマvsランゴのラストバトルの話題から。
予告で察してはいたがやはり全フォーム使うタイプのラストバトルで、特に最終回限定のフォームなど出たりはしなかったがそれでもフォームだけじゃなくブルキャンバギーやお菓子のオノマトペ、ケーキングのホイップ兵にブリザードソルベのアタリなどガヴの戦いを支えて来た様々な要素をフルに活かしたバトルになっていてまさに集大成のような戦いに仕上がっていたと思う。
最後は生身のショウマによるいつもの問いからの基本フォームキックでのフィニッシュというのも王道だ。
ラストバトルは最終形態派、基本形態派、特殊フォーム派と色々好みが別れるところよね。
しかし基本形態で決めるという流れにしようとした結果、ランゴ側が翼生えるだけならまだしもゴチポッドメタみたいな技を急に使ったり、特に説明もなく35.36話で猛威を振るったランゴの代名詞的能力の絶対防御(オートガード)が消失しているなど若干気になる部分はあったんだけどね。
好意的に考えるならランゴの性格からして一度負けたオーバー/マスターへの対処法を考えないとは思えないから実は習得していたとか、今回高速移動する際に左目が発光していたので実は絶対防御は右目が必要な能力で前の戦いで失ってしまったとかこちらの想像で補完することはできる。
翼に関してはランゴのモチーフがドラゴンなので最初から生やすつもりだったらしいね。
…(モチーフ)フェンリルじゃなかったのか!!
1話見た時は見栄えがシリアスな場面に合わなそうだしろくに使われないおもちゃのプレイバリューを増やすためだけの機能にすら思えたゴチスピーダーも最後までちゃんと使われて活躍してるのも作りが真面目だなと思う。
笑いどころなどない本気のバトルの中にもポップさが常にあるのは『ガヴ』の面白いとこよね。ゴチゾウは本当に大発明だったよ。
チョコダンフォーム!
生きとったんかワレ!
直前のグルキャンがランゴに一発食らわせて更に攻撃を何発か耐えたり派生フォームにしては相当頑張ってたのに対しチョコドンダンガンの射撃全然効いてなくて笑った。
おかしいな…
36話でマスターが使った時はまあまあ効いてたのに…
よく見ると色んなフォーム使いはしたがグルキャン以降の派生フォームの攻撃はどれも通用していないのよね。意外とパワーバランスを考えたシビアな戦いだ。
近年の仮面ライダーはバイクに乗らな過ぎるとか言われるが『ギーツ』からはそこにもちゃんと向き合っていてなんやかんや活躍の場も多い。ブルキャンバギーもジェットコースターのレーンを走ったり、飛行するランゴの追跡に活躍して果てはクラッシュの瞬間まで細かく描かれたりと令和で1番活躍したバイクと言ってもいいくらい頑張っていた。
最初こそ互いに様々な技や武器を使いながらいかにも最終決戦らしい派手な戦いをしていたが、昼始まった戦いが夜になるほど長期化しCM明けのバトルは消耗し切った2人の泥臭い殴り合いになってるのも非常に『ガヴ』というか藤田AC監督っぽい。
BGMはなく、エフェクトもほどほどにした真っ向からの殴り合いはまさに藤田AC監督の目指した「獣同士の戦い」。
かっこ悪いがかっこいい。CG盛り盛りのバトルもいいがスタイリッシュのカケラもないシンプルな肉体のぶつかり合いはやはり心を震わせる。
フィニッシュはいつもの決めポーズをショウマが決めて変身からの飾りっ気のないカウンターキックという渋い決着…
ワシは変身前の姿で変身後の動きをするのに弱いぞー!!!
爆散したランゴは白い羽根と化し辺りに飛び散り、その亡骸にショウマは1番好きなグミを置いて立ち去って行った。
この「白い羽根」ってどういう意味なんだろう。
44話で倒されたはずのグロッタやシータが白い羽根の中にいて走馬灯を見ていたりストマックと白い羽根は意図的に組み合わせて描いてるっぽいんだがちょっと意味までは分からないな。
調べてみると白い羽根には「浄化」や「安らぎ」という意味があり、ここから連想するなら闇菓子に翻弄され続けたのはストマック家も同じで死して初めて闇菓子の呪いから解き放たれて楽になれたとかそんな風に考えられなくもないが果たして…
ラストバトル前のショウマとランゴのやり取りについても触れていきたい。
ショウマに幸せを問われて感情のままに怒って掴み掛かるランゴの人間っぽさが良かったね。
闇菓子により一躍グラニュート界で力を持つ一族になったストマックに生まれたはずなのに商才のない父のせいで会社は思ったより成長せず、更にはただのスパイスな筈の人間を見初めてあまつさえ子供まで産ませた。
人間の妻と半分人間半分グラニュートの合の子に執着し、ろくに働かなくなる父。恵まれた環境がみるみる狂っていく中でランゴは自分が幸せになる為には父を消すしかないと手にかけた。
それを聞いたショウマは初めてランゴも被害者で幸せになろうともがいていたのだと、自分となんら変わらないのだと知る。
全く違うと思っていた2人が実は鏡合わせの存在だったと判明する件は感心したね。
やっぱりこの作品クソ親父と闇菓子が全員の不幸の根っこなんだなって最後までそこがブレないのがいい。そして父の死の真相を「まあそれは置いといて…」とばかりに軽くスルーするショウマ笑う。
『ガヴ』人気あるし多分Vシネクストのみならず小説とか資料集とか出ると思うからいまいち不明瞭なブーシュやゾンブのこととか掘り下げて欲しいな。
ジープの辿り着いた「幸せ」とは…

続いてもう一つの最終決戦。
ヴァレンvsジープ&リゼル周りについて。
復讐者だった筈の絆斗がリゼルから復讐される側になってしまうこの展開はラゴー回でもやった復讐の連鎖に因んだストーリーであり、絆斗絡みの物語はそこに終始していたなという印象。
「こんなのもう繰り返さなくていいじゃねぇか。」
って絆斗の台詞はラゴーを赦し憎しみの連鎖を断ち切った彼だからこそ言える言葉だった。憎しみなどない、守りたいものの為の戦いであっても決着がつけば怒りや憎しみはどこかに生まれてしまう。
これが戦いの虚しさか…
バトルシーンではジープとリゼルの2人がかりを相手にヴァレンは1人で互角〜優勢という状況だったが…
ちょっとハンティ強くない?
1人が明らかに戦い慣れてないリゼルとはいえいうてガヴやヴラムともそこそこ渡り合えるジープがいるのに割と危なげなく切り抜けていて初期の弱さが嘘のような成長ぶり。
リゼル相手でも容赦なく得意のプロレス技(ブレーンバスター)を仕掛けたり、構えて2人を懐に誘き出し瞬間ヴラスタムギアを起動してまとめて凍結し足を奪うなど長きにわたる戦いで身につけた戦術を活かした立ち回りはライダーとしてのスペック以上に絆斗がめちゃくちゃ強くなったことを感じさせられた。
しかし殺陣でいうならジープとリゼル側も負けていない。
相変わらず軽快でスタイリッシュなジープがまるで荒事に慣れていないリゼルをフォローするように戦っているのがいいコントラストになっていたし、健気で思わず2人を応援したくなる。
お嬢様のリゼルがめちゃくちゃ泥臭く必死に戦ってるのがまたいい。
ジープはブレーンバスターからリゼルを守ったり、肩のポテトを投げてビターガヴガブレイドを起動して拘束を解くなど最終回まで細かい部分に工夫が凝らされたいい殺陣だった。
で、個人的に1番良かったのがこの戦いの決着だね。
ヴァレンの〝フラッペいずボルテックス〟からリゼルを庇ったジープが直撃を受け倒されてしまったわけだがこの行動は言うまでもなく14話のシータと同じ。
シータはジープを大切に思っていたから身代わりになった。しかしその行動は1人残されてしまったジープを深く傷つけることになってしまう。
自分にはシータしかいない…シータに依存していたジープは復讐の為にリゼルを利用するつもりだった。
しかし長く共に過ごす中でジープはいつしかリゼルを本当に大切に思うようになっていて今回の戦いでついにあの時のシータと同じ行動をしたんだ。
この行動はジープのシータ依存からの卒業。リゼルをシータと同じくらい大切に思えるようになったからこその行動なのだから。
その上でシータの亡霊と顔を合わせ悲願のまた一緒になると言う結末に辿り着く。この美しさと来たらどうだ。
悪い意味で子供っぽく、他責思考で、浅薄だった彼は最後に成長し散っていった。悪いことをしたキャラは大体報いを受けて、尊厳破壊される修羅の香村脚本においてやらかしに対してかなり綺麗な着地を決められた珍しいキャラかも知れない。
しかしながら、シータに残されたジープが負った痛みを今度はリゼルが負ってしまってるオチは「庇った奴は満足かもしれんが残された側がしんどいぞ?」という流れも汲んでいるので決して美しいだけじゃないシニカルさもありリゼルからすればビターなオチなのも個人的にナイス。
どうしようもない奴だったジープに胸を打たれるとはいやはや…最後まで観ないと分からないものだ。
閉ざされた扉と再出発

各キャラの最後について。
扉の間の扉全てを破壊しようとしたラキアだったが結局最後までやり切ることは出来なかった。
落下していく中で死んでコメルに会えるなら悪くないと思ったラキアの脳裏に走ったのは人間界での楽しい思い出と仲間達の笑顔。
「ハハ…ッ。だる。」
これ満足して死ねると思ったのにショウマ達のことを思っちゃってやっぱり死ぬのが惜しくなった。みんなのこともコメルと同じくらい大切になっていた事に死に際に気付いての「だる。」だよね。
ラキアは初期から「だる。」に色んな感情を込めて言うからラストでもただ口癖を言ったんじゃなく、こういう意味があるんじゃ?って考えられるんだよな。積み重ねですよこれも。
結局扉の間から落ちたのに何故かグラニュート界に辿り着き無事だったラキア。どういう仕組みなんだろう。なんにせよ死なないで良かった。
ショウマは人間もグラニュートも美味しいと思える闇菓子ならぬ光菓子作りを頑張っているようだが、光菓子ってネーミングも微妙に怪しくない?
「お嬢ちゃん…光菓子食べるかい…?」って怖くない?
書き方の問題か?
ニエルブの命令でバイト達はグラニュート界に戻った筈だが一部のバイトはそのまま人間界に留まってしまい扉の間もなくなり帰れなくなったらしい。これはいくらでも外伝作品作れる終わり方だぁ…。
そして優さん。これもいい落とし所だったな。
みちるの件に気付いているとも、いないとも取れる絶妙な匂わせと空白を残してるのが実に私好み。
ここの決着はVシネクストなり小説なりで付けて欲しいような…このままでいいような…
1話では「目指せ!俺の新天地!」と漠然としたものを追ってバイクに跨ったショウマだったが、最終回では「目指せ!幸せのお菓子屋さん!」と目指すべきものが具体的になっていて最後はやはりバイクで走り去る仮面ライダーな終わり方。
ランゴとの戦いは互いに自分の幸せを手に入れるための、幸せを奪い合う戦いになってしまったが本当はそうじゃいけない。
誰もが美味しいと思えるお菓子を作り目指すは奪い合わずに分け合い、膨らんでいくそんな幸せ。
ショウマの夢はここから走り出すのだなと感じるラストだった。
総評
というわけで『仮面ライダーガヴ』全50話でした。
お菓子がテーマというポップなイメージから一転、ストーリーは時にやり過ぎなほどにシリアス&ダークのハード食感が癖になる。
お菓子モチーフの仮面ライダーはいずれもデザインが秀逸で最後まで目を楽しませてくれた。
そして根底にある昭和ライダーリスペクトは「お前達令和ライダーを仮面ライダーなどとは認めん!」と言う頭の硬い古参も唸らせるに違いない。
最後までずーっと面白かった!
アメイジングRYO的名作に認定!!
次回からの『ゼッツ』ももちろん感想書いていきますのでよろしければブックマーク登録、コメントもよろしくお願いします!
それではまた
おまけ

こちらはリアタイ時の私のポスト。
グロッタ姉さん役の千歳さんがいいね!くれました。
マジかよ!!
丸太買ってこなきゃ…

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